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マイク・バンクスとジェフ・ミルズが1990年に結成、活動を開始したデトロイト・テクノ第二世代を代表するチーム。デトロイト・テクノ第一世代(ホアン・アトキンス、デリック・メイら)のメジャー・レコード会社との契約におけるトラブルを目の当たりにしたことが原因と見られる徹底的な自主独立の姿勢は、自主レーベルの運営に留まらず広範囲なアンダーグラウンド・ミュージックの流通機構設立にまで及び、リーダーであるマイク・バンクスは、単に音楽ユニットの代表であるのみならず、デトロイト・テクノ/ハウス・シーンの精神的支柱として存在する象徴人物として広く世界中からリスペクトを受けている。過去十余年に渡るUR関連作品のリリースは100タイトルを超え、総セールス数は1000万枚を突破しており、名実共にアンダーグラウンド・ミュージック界の牽引者であると言える。
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オレたちは"星間逃亡者"なんだ。教えることはできない。
アンダーグラウンド・レジスタンス(以下UR)が、来たる12月23日に純然たるURとしては8年振りとなる2ndオリジナル・アルバム『INTERSTELLAR FUGITIVES PT.2 [DESTRUCTION OF ORDER]』をリリースする。今作は神戸のアンダーグラウンド・ギャラリー(以下UG)が主導するプロジェクト「アーティスト・イン・レジデンス」の一環として、今年6月から約一ヶ月、URのメンバーが神戸に滞在し制作したものだ。電力源として風力発電が使用されたのもトピックのひとつだ。このデトロイト⇔日本の交流から生まれたアルバムの真意を確かめるべく、URにメール・インタビューを敢行した。
-まず、この度リリースされる2ndアルバムについて質問からです。前作『INTERSTELLAR FUGITIVES』から8年の歳月を経て、URとしてフル・アルバムをリリースするに至った経緯、意図を教えてください。
UR 確かに純然たるURとしては8年ぶりになる。でも構想自体はずっと前からあったんだ。前作を出してすぐからあったと言ってもいい。この『INTERSTELLAR FUGITIVES』のコンセプトで表現したいメッセージは尽きることが無いからな。数年前に、今は神戸でUGをやっている古い友人から「日本に来て音楽を作らないか」と誘いを受けて、そいつといろいろコンセプトを話し合ううちに、これは『INTERSTELLAR FUGITIVES』のコンセプトにぴったりだと感じたんだ。
-『INTERSTELLAR FUGITIVES』のPART 2ということで、1stアルバムの続編と考えられます。前作は「ネガティヴ・エヴォリューション」と「ポジティヴ・エヴォリューション」がコンセプトになっている、と読んだのですが、今作はそこからどのように発展しているのでしょうか?
UR 発展しているかどうか、または発展させているかどうかはポイントではない。前作と共通することは、物事には常に二面性があって(多面性と言ってもいい)、それが自分たちの哲学の根底にある。一元的な善悪など存在しない。これは歴史を客観視すれば明白だ。今作には『秩序と混沌』にすら、それぞれ正と負の側面があるということがテーマになっている。このことは有史以来の本質であって、特に近年9/11以降、自分たちの実生活において顕著に感じることだ。
-"DISTRUCTION OF ORDER"=「秩序の破壊」という副題が付いていますが、ここでの"秩序"とはどのようなことを指しているのですか?
UR 具体的にどういう"秩序"かを指すものではない。社会に存在する本質的な意味での"秩序"であり、その"秩序"を盲目に信じ込んでいる者への警告として"破壊"という言葉を用いた。
-今作に込められた明確なメッセージ、コンセプト、ストーリーがあればお教えください。
UR アルバムに収められるブックレットに記してあるので、それをぜひ読んでほしい。日本語を使うことのできるフュージティブ・メンバーが訳してくれているはずだ。
-今作は、今年6〜7月に約一ヶ月間、神戸に滞在し制作されました。これはアンダーグラウンド・ギャラリーの「アーティスト・イン・レジデンス」というプロジェクトとも連動していることです。「アーティスト・イン・レジデンス」へ参加した経緯、及び共感した部分を教えてください。
UR アーティスト・イン・レジデンスへの誘いには、意味と強固な意識が存在したんだ。それが何より魅力的なことだった。そもそもヤツが初めて出会ったときの会話を覚えてくれていて、それをヤツなりに構築したんだ。10年も掛けて! 当時、オレはひっきりなしにやって来ては金をちらつかせるプロモーターどもに飽き飽きしていた。オレたちは金なんかじゃ動かない。これは不変だ。そんなことより、素晴らしいエレクトロニック・ツール(音楽機材)を生み出してくれた、尊敬すべき日本人たちの若い世代と音楽が作りたかった。しかも10年のときを経て、風力発電という実験性を導入することができた。参加しない理由はなかったし、共感することは伝え切れないくらいある。
-神戸に滞在したメンバーをすべて教えてください。
UR オレたちは"星間逃亡者"なんだ。教えることはできない。
-デトロイトと比べ、神戸での制作作業はどうでしたか?
UR いいか、デトロイト・ライフは本当にタフなんだ。ドラマ、つまらないポリティックス、洒落にならないバイオレンス...音楽に専念することは本当に難しい。神戸にいる間は、そういったすべてのくだらないものから完全に解放された。おかげで信じられないくらいのエネルギーを制作に費やすことができた。大阪や京都にも滞在したんだぜ。カンサイ・エリアって言うんだろ?ビューティフルだったとしか言うことがない。いつだって帰りたいくらいだ。いまやセカンド・ホームだからな。それと、若くていいアーティストたちとも出会えた。DJ LOVEGOD、HALPTRIBE、DJ 光...奴らが集まって来ているアンダーグラウンド・ギャラリーは日本のサブマージになると信じている。
-神戸での滞在はどうでしたか?なかには近所の居酒屋のおっちゃんと仲良くなった人もいた、と聞きました。そういった交流は楽曲に影響を与えましたか?
UR 俺たちは普通に暮らしていた。特別扱いされる訳でもなく、音楽だけをすることができた。スポット(註:居酒屋を彼らはこう呼ぶ。お気に入りの店、といった意味合い)の親父は、オレたちが誰かなんて知りようもない。でもずっと付き合っているように迎え入れてくれた。こんなことデトロイトじゃあり得ない。かなりタダ酒も飲めたしな。とてもリラックスできた。逃亡者や戦士にもつかの間の休息ぐらいあってもいいだろ?今回のアルバムには、そういったピースな雰囲気の楽曲もある。どんな影響があったかは聴いてもらえればわかると思うよ。
-ツアーで来るのではなく、滞在することで初めて見えてくる部分も多々あると思います。日本のいい部分と悪い部分、どういったところがありましたか?
UR これまでとかわらない印象は、やっぱり日本は美しいということ。で、今回掴めたのは、その美しさを生み出している空気感だ。少し矛盾するかもしれないが、美しさという視覚的概念を不可視的なものが作り出しているということ。それは人の心であったり、風土であったり。悪い部分か...がっかりしたことはあったけどな。「おい、お前らは自分たちの素晴らしさをわかっているのか?どうしてそんなにMTVに出てくる黒人みたいな格好なんだ?人真似なんかするんじゃねぇ!」ってな。でも、これは世界共通の病だな。マルコムが生きてたら、なんて言うかな。
-「デトロイトで育ち、デトロイトのソウルを持っている彼らが作るのであれば、どこで作っても同じ。テクノは距離や場所からも解放される」と、UGの方はおっしゃっていました。このことについて意見をお聞かせください。
UR そのとおりだ。ソウル・ミュージックは学んでできるものじゃないし、真似できるもんじゃない。オレたちはガキの頃から、ソウル・フードを食って、ソウル・マザーにどやされて、ソウルを溜め込み、ソウルを吐き出してきた。オレたちの音楽は、オレたちの体、ソウルから生まれる。そして精神は常に解放されている。距離の隔たりや場所という制約なんてクソくらえだ。
-風力&太陽発電を使用する、というコンセプトについての思いを聞かせてください。
UR 「イエス! オレたちは動力源からも解放されたんだぜ!」っていう喜びの反面、注意していかないといけないなとも感じる。だってそうだろ?これはとてつもなく危険なテクノロジーだぜ。オレたちにとってではなく、プログラマーにとってはな。みんな忘れてるけど、今、戦争の理由になってる石油だって原初はただの燃える水だったんだぜ。それが利権になったから、牛耳りたい奴らが争うんだろ? で、弱者が代理で殺し合ってるって訳だ。バカげた話かもしれないが、この技術が普及する頃には風と太陽光もプログラマーの利権になってるかもしれないぞ。
-13曲入りのサンプル盤を聴きました。臨戦体制に入っている、さらには戦闘状態だな、と感じました。URが戦闘している相手は「プログラマー」だそうですが、今この時代にプログラマーに対峙するのに必要な資質、姿勢は何でしょうか?
UR 目に映るもの、耳に聞こえるもの、すべてが真実ではないかもしれないという意識。ただし、闇雲に疑うというではなく、真実を見極めようとする姿勢。そして、自らの言動に責任を持つということ。これは自らにも課していることだ。
-「NEVER」や「GEIGER COUNTER」、「PREDATOR'S LANGUAGE」などはDennis Bovellの初期の作品(matumbiも含む)で感じられるインダストリアルでダブな質感を思い起こさせました。
UR どう答えていいかわからない。
-タイトルに「KAMIKAZE」、「SAMURAI」、「FUJI」といった日本固有のものがありますが、それぞれどういった意図でつけましたか?特に「FUJI」には日本的なフレーズや音色が導入されています。
UR それらの言葉が外部の者が持っているステレオ・タイプであることはわかっている。とくに「KAMIKAZE」や「SAMURAI」には罪深い負の側面が存在することも知っている。ただ、やはり日本人ではないオレたちにとって、日本のイメージにピッタリきてしまうんだ。カミカゼ・アタックを60年前のマザー・ファッカーなアンクル・サムがどれだけ恐れたことか。サムライ・ムービーにどれだけのマイノリティーが勇気づけられたことか。そのイメージをポジティブに、アグレッシブに使ったまでだ。そこにオレたちの活動スタイルの本質がある。
-古代インドの愛の経典「KAMASUTRA」や「THE FUGITIVE FROM TIBET」など、中央アジアの事柄もタイトルになっています。日本で制作したということでアジアを意識した、と捉えていいのでしょうか?
UR あぁ、そうだ。神戸にいる間にいろんなシットがアジアで起こっていることを学んだからな。自然とそうなった。
-サウンド面で共通に掲げたコンセプトなどはありましたか?先程挙げたインダストリアルや日本的な要素の他に、エレクトロやコズミック・ソウル、もちろんデトロイト・テクノもと、バリエーションが豊かだなと感じたのですが。
UR もちろん。これもブックレットを読んでくれ。神戸にみんなが勢揃いした日に話し合って決めたコンセプトがそこに書いてある。
-1stアルバムも日本で初国内盤化され、同時発売されます。このなかでDrexciyaの楽曲を入れ替えるそうですが、なぜでしょうか?可能な範囲でいいのでお教えください。
UR Drexciyaは残念ながら、もうこの世にはいない。死してなお、逃亡者のラインナップに加えておくことはしたくない。それだけだ。
2ndアルバムの話題を中心に質問した前半から、後半ではアルバム以外の話題を直撃しています。→URインタビュー後半はコチラ