DARREN EMERSON & PNAU

DARREN EMERSON
若干16歳にして、すでにDJとして数々のクラブでスピンしていた早熟な彼は、それから15年経た今では間違いなく世界のトップDJであり、ダンスミュージックシーンの重鎮となっている。'91年にはリック・スミス、カール・ハイドと知り合い、アンダーワールドの一員となり前衛的なエッジをもたらした。結果、ダレンが参加したアルバム「dub no bass with my head man」と「Second Toughest in the Infants」によって彼らはダンスシーンと、チャートのトップを欲しいままにする。こうしてアンダーワールドのメンバーとして黄金期を築き、「Rez」や「Born Slippy」といった名曲を残したダレンだったが、2000年に電撃的に脱退を表明。その後も休む暇なくソロ・アーティストとしてGlobal UndergroundからのミックスCDリリースやDJ業だけにはとどまらず、Sashaとの共作シングル、Fatboy Slimのリミックスをもこなす等、精力的に活動を続けてきた。また自身のレーベルUnderwaterはティム・デラックスやミューティニ−といった有能なアーティストの大ヒットで大きく躍進し、その傍ら、自身のミックスCDシリーズ(Episode1〜4)もロング・ヒットを記録。05年7月にリリースされた最新作『Episode 4』では、シャラム・ジェイとタッグを組み、さらにパーティー・アンセム必至の12"シングル"Bouncer/I Can't Hear You"をリリースし、旋風を巻き起こしたのは記憶に新しいところ。今春には自身の1stアルバムの発売も待ち構えている!

PNAU
オーストラリアのダンス・ミュージック界で絶大な人気と信頼を得ているプナウはニック・ラティモアとピーター・メイズの2人組ユニット。00年にワーナーミュージック・オーストラリアと契約しデビュー・アルバム『サンバノヴァ』をリリース。期待の新人として大きな話題となったが、収録曲のサンプリングの問題で市場に出ていたアルバムが回収されるという憂き目に遭う。しかしこの作品に対する評価は高く、結果的にこの年のARIAアワード(オーストラリアのグラミー賞)ではアルバムが回収となったにも関わらず「最優秀ダンス・アルバム」を受賞。01年にはダンス・ミュージック最大のコンベンション、「WMC(ウィンター・ミュージック・カンファレンス)で、ダレン・エマーソンとファットボーイ・スリムの間にパフォーマンスを披露し絶賛を浴びる。このことが契機となりダレンの主宰するレーベルUnderwaterと契約を結ぶ。その後アメリカ、ヨーロッパをツアーし人気を博した彼らは、05年、遂にニュー・アルバムをUnderwaterからドロップ。YEAH YEAH YEAHSのギタリストNick ZinnerやESGのヴォーカリストRenee Scroggingsが参加の今作はディープ〜アシッド・ハウス、テクノ、エレクトロ、ニュー・ウェイヴ、ダブ、ダウンテンポを網羅した大傑作となり、海外では“オーストラリアのCHEMICAL BROTHERS”(NME誌)“野蛮なDAFT PUNK”(THE GUARDIAN GUIDE誌)と評され、DJ Magazine誌ではAlbum Of The Monthに選ばれた。ニックは今春リリース予定のダレンの新譜にも参加している。

DARREN EMERSON & SHARAM JAY /
Underwater Episode 4
(UNDERWATER /BEAT)
発売中 2,468円

PNAU
『Again』
(UNDERWATER /BEAT)
発売中 2,205円
ギターを手にテクノ・ビートに合わせてパンクを歌ったり、新しい世代がおもしろいよ。
―レーベルオーナーとしてのダレンに質問ですが、これまでにもアンダーウォーターからはティム・デラックスやミューティニーなどといった人気アーティストを輩出しています。彼らがここまでブレイクするには同レーベルの後押しも大きかったと思います。そのように新人アーティストをフックアップする姿勢は大事にしていますか?
D ああ、それはいつも重要な仕事のひとつだ。ティム・デラックスもミューティニーも今は自分たちでレーベルをやってるね。アンダーウォーターには常に新しい人が入ってきて、出て行く人もいれば、そのまま所属し続ける人もいる。それはビジネスだからそういうものだよ。

―ニックはアンダーウォーターにどのような印象を持っていますか?
N 僕は5年前にダレンと知り合って、それ以来一緒に働いたり、音楽やいろんなことについて話してきた。これは僕の持論だけど、創作について一番重要な要素は“人”だってこと。創作する上で、どのような人と関わっていくか、その判断が一番重要なんじゃないかって。僕は常に暖かい心を持った人と関わりたいし、それはお金やその他のものより重要なことなんだ。前にいたレーベルはなんだか冷たいところで、あまりコミュニケーションもなかった。だからアンダーウォーターに所属することはとても新鮮でエモーショナルだよ。ダレンと過ごす時間はとても貴重な体験なんだ。
D アンダーウォーターはレーベルそのものが一種の家族のようなフィーリングを持っているからね。レーベルに所属する多くのアーティストは個人的に友人でもあるしね。特にニックとは仲が良くて、一緒に曲を書いてもいる。そのなかの数曲は僕の1stソロ・アルバムにも入る予定だよ。
―そう、その1stソロ・アルバムですが、進行状況はどうですか? 春には届けられると期待していいですか?
D 90%は出来上がってるよ。ニックと一緒に何年も曲を書いてきてアルバム用のマテリアルのストックはたくさんあるし、ほとんどアルバム2枚分くらいあるからね。だから1枚目はエレクトロニックでダンスなものを、2枚目はギターなど生楽器を取り入れたものを出そうと思ってるんだ。

あと、『Episode 5』も制作中で、次はマジックJと競演するよ。その他にもあと2、3作くらいコンピレーションを出したいね。チルアウト系と、ファンク、パンク、ロックの要素の入ったもの、作品の中にアップダウンがあるものも作りたいね。
―そのダレンのニュー・アルバムに、ニックは具体的にどういう形で参加しているのですか?
D サイレント・パートナーみたいな形かな。一緒に曲を書いたりプロデュースしたりしてくれている。だからダレン・エマーソン名義で出るけど、ほとんどは二人で書いた曲だよ。
―04年1月にティム・デラックスが来日した際にインタヴューを行ったのですが、そこで彼は「80年代末から90年代初頭にかけての感じが今の自分のブームだからそういう感じの曲を作っていきたい」と言っていました。このようにお二人にとって「今こういう感じの曲を作りたい」というのはありますか?
D 基本的には一歩先に進んだこと、自分にとって何か新しいこととやろうという方向性で進めている。今までテクノやアシッド・ハウス、プログレッシブ・ハウスなどといった音楽を作ってきたけど、そういった音楽は今やそこら中にあるようになった。僕は、そこに何か新しい刺激を注入してそれを前に推し進めようとしたいんだ。アンダーワールドに在籍していた頃にも、ダンス・ミュージックの中にギター・サウンドを加えてみたりしたけど、そういう流れで、生のギター、ドラム、ベースなどをダンス・ミュージックに加えることで人間っぽいフィーリングを作り出したい。
N 彼はクリエイティブなのと同時に理論派でもあるんだ。彼の作る音楽は常に知的で時代の先を行くものだし、一緒に仕事をしてわかったことなんだけど、それまで誰も聴いたことがなくて、人の心を掴むようなものじゃないと音楽を作る意味は無いとさえ思っているんだ。

D その通りだ。いつもああでもない、こうでもないと試行錯誤して、なんとか前に進むようにしているよ。何事に対してもオープンに、使えるものは何でも取り入れたていくスタンスでね。あと、美しい音楽を作ることも目指しているよ。全編ひたすらダンスの音楽はちょっと退屈に感じるからね。
―ヨーロッパなどではクラブシーンが肥大化して拝金主義のような風潮も見受けられるようになってきていると思うのですが、その点に関してお二人の意見を聞かせてもらえませんか?
D 金のことばかりを考えているヤツはどこにでもいるものだよ。アンダーグラウンドでクールな音楽を市場で流行らせてお金を儲けようとする大きいクラブやレーベルがいるけど、そういうのは本当に良い音楽シーンを形成する助けにはならない。でもまあそれもビジネスだからそれはそれでいいんじゃないかな。逆にそこに含まれない音楽はまたアンダーグラウンドに潜っていくから、そういう意味でも良いことなのかもしれないしね。僕が好きになる音楽はいつもアンダーグラウンドから出てくるし、僕らは僕らで良いものを作っていくだけさ。

N 僕は今のシーンをとても面白い時期だと思ってるんだ。今、シーンには18〜21歳くらいの新しい世代の若者たちがたくさんいて、彼らは彼ら独自の方法でエネルギッシュに音楽を作ろうとしている。ギターを手にテクノ・ビートに合わせてパンクを歌ったり、彼らなりの方法でどんどん変わった音楽を作ってるんだ。最終的に重要なのはグルーヴやビートだってことを今の若者は理解してるしね。この状況はなんだか1978年から1983年くらいの時期によく似ている気がする。ジョイ・ディヴィジョンやバウハウスなどが出てきて、本当にそれまでに聴いたことのないような音楽を作って、というか発明していた頃だよ。でも、ダンス・ミュージックの新しいエッセンスが今まさに作られていることに、人々はまだ気づいてないんだ。だから若い人たちは商業的には苦戦を強いられているね。もう十分にお金を稼いだ人は一休みして、そういった新しい人たちがもっと出てこられるといいなと思うよ。
―最後に日本のオーディエンスにメッセージをお願いします。
D とにかくありがとうと言いたい。アンダーワールド時代から今に至るまでの皆さんのサポートに感謝している。この良い関係をこれからも続けていきたいね。

N 今回が初来日で、これまでずっと日本に来たいと思っていたのがようやく実現した。もっと日本に来て多くの時間を過ごしたいから、これからも僕に期待していてよ!