HAV(SOULFIRE,SF RECORDINGS)

HAV(SOUL FIRE)
大阪のベテラン・ダブ・バンドSOUL FIREのダブ・ミキサーHAVが主宰するレーベル、SF RECORDINGS。これまでに関西のダブ・バンド/アーティストを網羅した名物コンピ『Blue Flame Dub』を4作リリースする他、SOUL FIRE 、ECHO MOUNTAIN、THE HENIRCOOTSのフルアルバムをリリースし、ダブを表層で捉えがちな日本全土にその真髄を叩き付ける。合い言葉は「ダブとはナニか?」。

『V.A. / Blue Flame Dub Vol.4』
(SF RECORDINGS)
発売中 2,625円
(これまでの4作の中で)コンピとして一番トータリティがあるかな。
"オオサカ・ダブ"。どの原稿でも(勝手に)そう呼称している音がある。ジャマイカでもUKでもなく、大阪。それは名前の通り、大阪発信のダブ、なわけで、その中心となるのがSF RECORDINGSというレーベル、となる。大阪の老舗ダブ・バンドSOUL FIREのダブ・ミキサーHAVによるこのレーベルは、ダブの持つユルさ(音の、という意味じゃなく生き様のことを指す)、適当さ(いいかげんに、じゃなくて適度に自分の身の丈で、という意味での)、狂暴さ、酩酊さ、がエコーとリヴァーブでぐにゃんぐにゃんにミックスされたような音を発信している。大阪独自の美意識をもってダブをするとこうなる、というのがこのレーベルに共通するものだろう。それはオリジナルに経緯を表したオリジナル。聴いてみればわかる。そのへんの"ダブ"ぶったサウンドを鳴らしている連中とはわけが違う。ダブの真髄をわきまえてる。
このレーベルの名物コンピが今回で4作目となる『Blue Flame Dub』だ。00年の一作目から、これまでにもGOMA、BUSH OF GHOSTS、AKIO NAGASE、一☆狂なども収録されてきたこのコンピの最新作がいよいよ7/27にリリースされた。そのリリースに際してレーベル主宰者であるHAVに話を聞いてきた。場所はSF RECORDINGS STUDIO。レーベル運営を手伝っている、DJでもあるsaito hideyukiもインタビューに参加してくれた。
同レーベルが当初から掲げてきた「ダブとはナニか?」の05年における解答が、この一枚にはある。
-4枚目にして、これまでの3作と違った点はありますか?
HAV(以下H) 一番トータリティがあるかな。コンピとして。
saito hideyuki(以下S) 僕はやっぱU-lalaが入ってる感じが、拡がりがあるなって思いますけどね。この感じは『Blue Flame Dub』には新しいかなって。
-制作期間はどれくらいでしたか?
H 一年半くらいかな。去年の秋には出来てるはずやってんけど、みんなの提出が遅いとか、SOUL FIREも書き下ろしをやろうとかしてるうちにどんどん時間経って。SOUL FIREは最初三人だけでやってても今イチやってん。で、たまたま1stアルバムでも歌ってくれたマサヨってコがNYから帰ってきてて、すぐに一緒に録って。
-今回の人選はどういう流れで?
H うーん。E.D.O.ECHOはデモ・テープから。デモ・テープからは初めての参加やな。
-やっぱりデモは結構送られてきますか?
H たまに。一人で打ち込みでやってるやつが多いけどな。拠り所みたいに(笑)。
S 駆け込み寺というか(笑)。
H E.D.O.ECHOは一回、レギュラーでやってたイベントにライブで出てもらって。で、ライブも良かったから次のコンピには参加してって言っといてから、コンピレーションがなかなか進まんくて、ほったらかしにしてて。
-曲順はHAVさんが?
H うん。適当やけどな。でもエエ流れ。あんまり考えんのが嫌なタチやから。そのとき思ったやつでコレでエエかなって。昔は詰めてやろうかなって思ったけどな、一瞬だけ。
-今まで以上にベース音が出てるように感じましたが。
H これまでは他のスタジオでしてたけど、今回始めて自分のスタジオでマスタリングまでやってん。
-タトルさん(Tuttle&dynamo labolatry)の曲は特にベースの質が異常でした。
H あれは96年の音源で。
-その当時のものをそのまま?
H うん。で、その当時に見てんねん。BALL ROOMってクラブで。94年くらいかな。そのときにタトル君はICCHIE(ex. DETERMINATIONS / ex. BUSH OF GHOSTS)とやっててん。トランペットとDJみたいなスタイルで。かなりハードコアなことを。
-今作には、常連の方もいれば初めて収録されている人もいます。U-lala、E.D.O.ECHO SOUND SYSTEM、Global Purpose、COMPSTICS、RED RED MOHICANは初参加ですが、中でもGlobal Purposeはフランスのバンドです。どういった経緯で参加になったのですか?
H スタジオに訪ねてきてん。メンバーの一人の嫁はんが日本人で、嫁はんの出産で日本に来てたときに。どっかのレコード屋でここのスタジオのフライヤーを見たらしく、それを見て電話してきて。で、訪ねてきて、そのときにラップトップで音源聴かせてくれて。アルバム一枚分くらい聴かせてくれて、どれも良くて。ケルト民族で、アイリッシュのトラディショナルな人をフィーチャリングしてやったりもしてるみたい。フランス人言うても割ときちゃない感じのドレッドのヤツやけど(笑)。
-フランスでは結構活動されてたり?
H いやあんまりしてないみたい。パリから300kmの田舎に住んでて。んでアンチ・アメリカ。
-RED RED MOHICANはどんな人たちですか?
H 部室みたいやな。男臭い。広島岡山県人会。今は大阪にいてるけど。
S 今、ファイヤーフライでバンドのブッキングしてる松尾君がRED RED MOHICANのパーカッションで、暇さえあればファイヤーフライでバンドの練習してるみたい(笑)。
H RED RED MOHICANはラブリッシュ(梅田にあったレゲエ・クラブ/バー)の頃からしてるからな。昔からスカのなかにジャズとパンクなテイストがあったから、それがかっこよかって。最近はだいぶレゲエとかダブになって、ゆっくりなってきてていいなーって思ってたから。
-U-lalaは?
H 一回イベントで一緒になったときにライブ見て。で、後からわかったことやけどメンバーの一人がチカちゃん(CHICA meets SOUL FIREとしてアルバム『Bal Bola』をリリースしたナニワの歌姫)の友達やってん。
S 今、ZINKで働いてる笹山君がチカちゃんと仕事の先輩後輩やって。日本橋の大中っていう中古レコード屋の。
-大中(笑)!! えらい濃いところに。
S チカちゃんのほうは千日前のほうで今も働いてる。
H ハードコアなところにおんねん。
S 変態ばっかり来る言うてる。
H オモロイらしいで。あれ絶対インタビューするべきやで。連載したらエエんちゃうかな。チカちゃんの小咄って。
-HAVさんも参加するCOMPSTICSはどういった経緯で結成されたのですか?
H ブッシュ(BUSH OF GHOSTS)の解散する前に初めてやって。bAttA君がTAKEUCHI君とリズム隊だけでなんかやりたいねんって言いだして。それのミックスをやってくれってなって。で、どうせステージ上がるんやったらキーボードもしようかってキーボードとダブ・ミックスをすることになって。基本的にメンバーはこの三人で、他はいろんな人をフィーチャリングしてやろうってことで、まあいつもヒロ君(EQUALIZER)とショウイチは参加してる感じ。
-最近はどんな音楽を聴いてますか?
H なんやろな。レゲエかな。最近嫁はんがipodを買って、アメリカのiTUNESをダウンロードする方法を裏技で知ってるから、そこでキラーなルーツとかダブをオトして聴いてるかな。
-レゲエ以外では?
H 新しいとこで言うたら、、、全然自分で探してないな。嫁はんが探してきたやつを聴いたり。ジャック・ジョンソンとか。あと、エルダラっていう人らがルーツとカリブ系とラテンな感じでシブかったな。タージマハルみたいな。
-大阪のダブ?レゲエはどうですか?ダブなフィーリングのバンドの数も増えた気がしますが。
H ちょっと世代が変わってる気がするな。やっぱフィッシュマンズやな。フィッシュマンズ世代というか。オレら、フィッシュマンズほとんど聴いてないから。『宇宙 日本 世田谷』くらい。今のコって割と日本語のタイトル付けたりするやん、そのへんはフィッシュマンズなんかなって。ぱっと聴いたら頼んない感じがする。U-lalaとか好きそうやもんな。逆にRED RED MOHICANは若いけどそことは違うというか。広島岡山県人会っていうのがいいんちゃうかな。千鳥とか好きやもん、オレ(笑)。
-地方に行ったりしてどうですか?
H 東京はな、今のダブっぽくて薄いねん。姫路のfabはごっつい繁華街のとこにあって、オモロイ。ダブで盛り上がるっちゅうのがエエわ。
-あそこの人、おもしろいですもんね。
H あの兄ちゃん、オモロイで。DJもむちゃくちゃらしいで。でも好きなようにするらしい。
-今後のリリース予定はありますか?
H とりあえずはGREEN GREENのアルバムを早いことやらなアカン。2年くらいもうやってて。なぜか全然終われへん。COMPSTICSもちゃんとやって、SOUL FIREもやって。
-では、最後に一言お願いします。
H エエ感じなんで、ジャケ買いでもしてもらって聴いてください。
あるいは、「ダブとはナニか?」の"ナニ"とは、局部を指して"ナニ"と言う、あの感覚なのかもしれない。と、このアルバムを聴きながらふと思ったことは記しておこう。だって、これって言い得て妙、な気がするから。