JUZU a.k.a MOOCHY

14才の時ギターとターンテーブルを手に入れ、グラインドコアのバンドとDJ両方の音楽活動を並行して始める。DJとしては90年代初頭、今や伝説化したパーティRHYTHM FREAKSのオーガナイズ及びレジデントDJとして一世を風靡。 90年代の終わりから打ち込みでのトラック・メイキングを開始。その一方で楽器演奏をメインとしたバンドNXSのリーダーとしても活動を展開。DJ、楽器演奏、プログラミング、エンジニアリング、バンド活動、パーティーオーガナイズまでをもこなす、音楽に対し貪欲で雑多、雑食な姿勢を持ち続ける希なアーティスト。

『MOMENTOS』
KOKO-0002 / オーバーヒート
\2.520-(税込み)
音楽の歴史なんかに意識的だし。そういうのを踏まえた上で文化として捉えてるから。ガキの遊びじゃないな、って。
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★今回生の音がすごく多いですよね?特にパーカッションやリズムセクションもほとんど生で、さっき言ってたフィールドレコーディング的な音が多いですよね?でもそう思ってたら急に電子音の上音が入ってきたりするじゃないですか。その辺のバランスはどういう風に考えて創ってるんですか?
j;僕自身がギターとボーカルでバンドやってたんで、生音とか電子音とか考える上で違いは全く無いんですよ。バンドやってる時からダブ的なことはやってたし。ボーカルを何重にも重ねたり。そういう事ってもう既にエレクトロニックな音響処理じゃないですか。
★そうですね。
j:ある意味アンリアルな、つまり自然じゃないモノでバーチャルなストーリーを創れるっていうか。フィクションだから。反対にフィクションはフィクションでも…例えば“真理”ってものは言い表すことは出来ないけど、例え話を創ることで他者に伝わることってあるじゃない。それもフィクションなんだけどね。例えばスターウォーズみたいな世界ってないんだけど、あれから学ぶことは出来るわけで。
★その世界の奥に真理を見ると。
j:そうそう。まあ音響処理って言うのはアンリアルな世界だから。どれだけイマジネーションを沸き立たせるか。それが一番大事かな。
★なるほど。今回は音の録りがすごくきれいで、特に低音の鳴りとか…
j:ウッドベースとか?
★はい。ベースが引っ張る曲が結構ありますね。
j:あれはね、友達がサンレコ(=sound&recording誌)で読んだ、とか言ってて(笑)、マイクをタオルで巻いてウッドベースのリアの部分に突っ込んでそのまま弾いてもらったんです。SHUREのゴッパチ(=SE‐58)っていうのはすごく名機で。素晴らしい。(マイクを持ってるふりをしながら)こうやって宣伝してもいい(笑)
★「俺は使ってる」みたいな(笑)
j:そうそう。
★サンレコも読んどくモノですね(笑)
j:そうだね。あとレコーディングですごく感動したことがあって、若いピアニストがいて、公民館にグランドピアノがあるからそこでレコーディングすることにしたんだけど、そのグランドピアノが壊れてて鍵盤が弾くと上がってこないんですよ。だから「これでいいの?大丈夫?」って聞いたら「OK、OK」って(笑)
★マジですか。
j:それ聞いた瞬間俺は「かっこいい〜」って(笑)。関係無いんだな、って。
★へ〜、そういうスタンスって確かにかっこいいですね。
j:そうだよね。
★でも音の鳴り、出音のバランス、そういったモノは本当に秀逸で。今回moochyさんが全編通してプロデュースなさってますが、特にこだわった面ってありますか?
j:今回は出来るだけラジカセでも聴けるモノにすることが理想だったかな。
★なるほど、リスナーのサウンドシステムを選ばない、ってことですね。
j:そうそう。僕はそれなりに良いモノを持ってるけど、それは自分が音楽やってるからであって。やってない人は結構よくないもので聴いてるだろうけど、それでも彼らに伝わるように、そういう所を重要視しました。だからどれだけヘボいサウンドシステムで聴いても伝わるんじゃないかな。
★そうですよね。
j:もちろん理想はめちゃめちゃ良いブリブリのサウンドシステムで聴いても良くて、なおかつラジカセで聴いても良い。それは結構難しいんだけどね。でもボブマーレーとかってそういう世界ですよね。
★確かにそうですよね。では今回、現地の方も含めてゲストミュージシャンがたくさん参加されてますけど、ああいうつながりはどこから生まれるんですか?
J:基本的には偶然で、必然で、みたいな。向こうに行って紹介もあったし、たまたま入ったバーで出会ったり。
★そういうのは醍醐味ですね。現地で出会って共に音楽をやれる、っていうのは。
j:うん。スリリングなロールプレイングゲームみたい(笑)。次どうなるのか分からない、っていう。
★もちろん言葉は通じないでしょ?それでもやっぱり音楽を通して通じ合えるものなんですね。
j:そう。それが素晴らしい。やってみると割と楽でした。逆にそういうものが無いと会話しにくいし。
★制作期間はどれくらいだったんですか?
j:キューバから帰ってきてから1年半くらいかな。その前も1年くらいはウダウダやってて、でもやっぱりキューバから帰ってきてからは気合い入りました。それなりに良いモノが録れちゃったからこれは形にしないとヤバいな、って(笑)。それまでもミックスもアレンジ全部やってたけど、あそこまで生楽器が多いのは初めてだったから、どうやってその響きを出すのか、大変でした。
★例えばパーカッションだけでもものすごいチャンネル数ですよね。
j:そうそう。もう数学の世界が入りますよね(笑)。マイクの位置とかパターンを忘れちゃって。帰ってきてから大変でした。
★でもさっきの言葉を借りるなら“真理”って言うモノはサッと入ってくるんですけど、「あ、これは創るの大変やっただろうな」っていうのは全面に出てくる感じではないような…
j:ああ、それは確かになるべく伝えないようにしました。
★特にエレクトロニカ系のアーティストって「これ創る作業は大変やっただろうな」っていう感想が先に入ってくるようなことが多くて。でも『MOMENTOS』に関しては音数も多い曲もあるんですが、制作の大変さより音の奥にあるものが聴き取れます。
j:本当ですか?それは〜、ありがとうございます(笑)
★あと、リミックスワークも結構の数を手掛けてますよね?今後リミックスでも他の形でフィーチャーするモノでもいいですし、妄想でも死んだ人でも「この人とやりたい!!」っていうようなアーティストっていますか?
j:いますよ。キューバのドン・パンチョっていう人ですね。その人とやりたいからキューバに行った、っていうのもあるんで。その人のCDがもうすごくよくて。昨日も最後の方にかけたんだけど。
★その人は僕分からないんですけど、パーカッショニストですか?
j:そうです。元々はバイオリニストなんですけど。音源とかは売ってないんですよ。何かしらで僕がディストリビュートしたいと思ってるんだけど。あとDJで言うならニューヨークのハウスで、例えばジョー・クラウゼルなんかは最近親交が出来てきて。そういう人達のプロダクションに…潜り込みたい、って言うと変だけど、彼らの創ってる音楽はすごく質が高いから。学びに行けるなら行ってみたい。どういう状況でレコーディングしてるのか、とか。
★ジョー・クラウゼルとはいつ頃から交流があるんですか?
j:KUNIYUKIさん(a.k.a KOSS、MOMENTOSにも参加)の紹介で、彼が音源を送ってくれてそれを気に入ってくれて、メールが来て。「おお、ジョー・クラウゼルからメールが来た!!」みたいな感じで(笑)。その後は直接メールでやりとりしてて。
★ああいったニューヨークのスピリチュアルハウスあたりもよく聴かれるんですか?
j:元々ハウスのシーンが地元であったから。パラダイスガラージ(ニューヨークにあった伝説的クラブ)のロゴマークが地元の高架下にペインティングしてて。それを「これなんだろう」って思ってて。そのマークが何なのかはラリー・レヴァンが死んでから知ったんだけど。あとは、デビット・マンキューソっていう人が福岡に来た時に僕がサポートしたんだけど、彼と3泊4日くらいずっと一緒にいて。その人がニューヨークのああいったシーンの権化らしくて。もう70過ぎぎのおじいちゃんなんだけど。本人は60歳って言い続けてた(笑)。
★(笑)
j:そんなおじいちゃんとずっといろんな話して。デヴィットは普段日本では全然レコード屋には行かないんだけど、たまたまエジソンっていうレコード屋にいって。そこは割とロック系なんだけどテクノとかヒップホップとかも置いてて、そこにある“ロフトクラシック”(デヴィットマンキューソが行っているパーティー“THE LOFT”でプレイされている曲をコンパイルしたもの)のコーナーをずっと見てて。「わあ、デヴィットが見てるよ」とか思ってて。それで僕が“LOVE IS THE MESSAGE”っていう12inchのレコードを買おうとして持ってたらデビットが「何買うの?」って聞いてきて、「これ」って見せたらずっと見てるから「欲しいの?」って聞いたら「うん、欲しい」って(笑)
★(笑)
j:で「ありがとう」って(笑)。その後もレコード屋回って、そのお返しとばかりに「これ知ってるか?」とか教えてくれて(笑)。まあ彼といろいろ話して。サウンドシステムのこととか。“光悦(こうえつ)”っていうレコード針を使ってて。日本の刀鍛冶屋が針を初めたモノなんだけど、今2代目らしくて。1本30〜40万円くらい。
★え!!マジっすか!?
j:うん、20本作って1本出来るらしい。その初代目の人は何を聴いて針を作ってるのかと質問したんです。「良い質問だ」とか先生みたいな状態で(笑)。何だと思います?
★クラシックとかですか?
j:あ、正解。あともう一つ。
★ん〜…
j:もう一つはゴスペル。ゴスペルとクラシックを聴いてバランスとか計ってるらしいんです。つまり器楽と声。
★ああ、なるほど。
j:そんないろんな話が出来たんで良かったです。彼にしても音楽に対する知識、それがすごい。それがああいうシーンを育てた理由だと思う。学ぶことが多いな、って改めて感じました。音楽の歴史なんかに意識的だし。そういうのを踏まえた上で文化として捉えてるから。ガキの遊びじゃないな、って。
★じゃあmoochyさんもそういった歴史を踏まえて愛しながらやっていきたい、と。
j:そうですね。音楽には感謝してるし、その中で生きれたらな、と。
★クラブに愛着はありますか?
j:ありますよ。やっぱり思い出もたくさんありますし。DJとアルバムとは全然違う内容だったりするけど。
★音楽作る時とDJする時は違いますか?
j:全然違いますね。音楽を創る時はやっぱり考えちゃうから。DJの時はなるべく考えないようにします。
★直感を大事に。
j:はい。でも機材もそうやって直感でいじれるようになれればな、って思います。まだまだですね。エードリアンシャーウッドとかリーペリー、キングダビーとかは機材をフルで活かしてるだろうし。
★そうですよね。では現在福岡に在住なさってるんですよね?なぜ九州に行ったんですか?
j:理由はめちゃめちゃあるんだけど。DJで行ったりしてて。九州っていう島はすごく魅力的だと思うし。自分的にすごく日本っぽい。「日本ってどこ?」って考えると直感的にあの辺を考えちゃう。誰でも九州って“熱い”っていうイメージありますよね?
★ありますね。日本男児=九州男児みたいな。
j:うん、場所的にはすごく良い。自然もたくさんあるし。元々都会っ子だからそういうのにすごく憧れる。
★東京との距離って気になりませんか?
j:なるのはなるけど、今はインターネットもあるし飛行機もあるし。そこは時代の追い風って言うか。今回もコンピューター持ってキューバにレコーディングしに行ったり。
★そうですね。今回はレコーディングしてからオーバーヒートからリリースが決まったんですか?
j:そうです。僕が勝手に行って勝手に録ってきて、それから「こんなの創ってるんです」ってヤン富田さんのマネージャーをやってた人、僕のサポートを10年くらいやってる南部君という人に渡して。「じゃあやろう」って。NXSもそうで、自分でレコーディングしてそれから…
★そうなんですか。なんだかインディペンデントを地でいってますね。
j:まあ…頼ってますけどね(笑)
★(笑)でもそういう形で響かすことが出来たら一番いいですね。
j:そうですね。いろいろ言われたくないし。出来るだけそのスタンスでずっとやれればな、と。あらかじめ予算が必要だけど(笑)。
★そうですね(笑)。今日は色々なお話を聞けて本当に貴重な時間でした。もし読者の方にメッセージなどがありましたら。
j:アルバム出るんでよろしくお願いします。1回聴くだけじゃ分からなくても10回くらい聴くと何かしら伝わるモノがあると思います。
★分かりました。本当にお疲れの所ありがとうございました。
j:いえいえ、ありがとうございました。
6/17、unagidani sunsuiにJUZU a.k.a MOOCHYがDJで来阪。