韻シスト

韻シスト
98年結成、メンバーの入れ替わりを経て現在はBASI、サッコン、FUNKYMICの3MCとSHYOU(b)、Okeh(g)、林未来彦(as)、クーマ(ds)からなるヒップホップ・バンド。サマソニ'04のメインステージに出演したのを始め、関西〜関東〜全国とライブを精力的に行い、そのステージングにも定評あり。今年6月にシングル「少年B」、8月にミニアルバム「レッツ☆ダンス」とリリースし、あとは9/21発売のフルアルバムを待つばかり!
http://www.rdrecords.com/insist/
Globalスピーカーリリースツアー
2005/11/11@東京渋谷クラブクアトロ
2005/11/18@愛知名古屋クラブクアトロ
2005/11/25@大阪心斎橋クラブクアトロ

『Globalスピーカー』
(Epic Records)
9/21発売 3,059円
「Localスピーカー」を発展させて「Globalスピーカー」に。全世界、全宇宙に向けてやっていこうって。
「レッツダンス ミラーボールが回転 アーイェーアーイェー さあ朝まで ヘイ! ビア・プリーズ 楽しむウィズ・ユー 響く響く ヒップホップのリズム」
という「レッツ☆ダンス」のフックがやけに印象的だった、02年のミニアルバム「Relax Oneself」。いや、その前からライブは幾度か見ていたけれど、その後も幾度かライブを見てきたけれど、この音源に綴じ込められた熱っぽさが、ファースト・インパクトとしてずっと残っていた。「同世代なんや、だからか、この感触は」と、資料に目を通しながらそう思ったことも覚えている。音楽との接し方(距離感とでも言おうか)、クラブでの遊び方、仲間との繋がり方、もちろんどれも違うだろうけど、きっと共通項がある気がした。もうすでにあらゆるものが"ある"という状態で育った世代特有の、共通感覚が。
時代の雰囲気は、音楽や言葉、絵画、彫刻、映像、ファッション、それが料理やパーティーやなんであっても、クリエイトするモノに滲み出すものだ。それは消そうにも消せない、得ようにも得ることは出来ないモノだ。
隣に住んでるファンキーなニイチャンが音楽をしてた。生楽器をバックにラップしてた。なんかエエ感じやん。そんな感じでいこうや、それが韻シストだ。
日本で生バンドでヒップホップをやっているなかで群を抜いているのは一目瞭然で、来たる9/21には初のフルアルバムとなる『Globalスピーカー』をリリースと、今後、ヒップホップというシーンのなかで、メジャーというフィールドのなかで、どう立ち回っていくのか楽しみな彼らから、BASI、サッコン、FUNKYMICのフロントマン三人に話を聞いてきた。
-今年に入り、6/22にシングル「少年B」、8/24にミニアルバム「レッツ☆ダンス」と立て続けにリリースし、9/21にフルアルバム『Globalスピーカー』となります。このハイペースなリリースの思惑を教えてください。
サッコン(以下S) 単純に前のリリースから一年空いたんで、もう一回名刺変わりにシングルからってことで。去年の末から明けまで制作して結構曲が出来てたんで、そこからシングルのタイトルをどれにするかをみんなで決めて。
BASI(以下B) 今まではメジャーにいってもあんまりプランも練らずに出してたんですけど、そろそろって。
-結成7年目で初のフルアルバムとなりますが、フルアルバムということでこれまでと違ったことはありましたか?
B フルやからって切り替えるっていうよりもずっと気合い入ってたというか。インディーのときからそれくらいの意志でいたし。自分はパンッてアイデア浮かんだりするほうなんで、できるだけ早いタイミングでこの二人にこういう歌があんねんけど、とか、こういう内容の曲をやりたいんやっていうプランをどんどん言って。そこからヒントもらって。
-BASIさんのアイデアをもとに曲を作るっていうのが多いんですか?
B それもあるし、MCの三人で音聴いてセッションで作る場合もあるし、いろいろですね。例えば「少年B」は、単純に「ヒーハー」っていうフレーズがまず自分にとってヒップホップやなと思って。スピーチとかでもラップする前に「ヒーハッ」って言ってラップしてたり、なんかイカつい人でもヴァースの裏とかで「ヒーハー」とか言ってたりするんですね。でもそれがフックに入ってる曲ってオレの知識のなかではあんまりなくて。これってもしかしておもしろいかな、先やったもん勝ちかなって。あと、Bボーイを日本語訳した「少年B」っていうキーワード。これもインターネットで「少年B」って検索したら、犯罪の少年Aとか少年Bとかしか出てこなかったから、OK、誰もやってないって。内容とかよりもそういうタイトルやったりサビの「ヒーハー」っていうのを言いたいとか、それだけでモチベーションが上がるから、あとは三人で揉みの作業に入っていって。そこからは起承転結つけるなり逆に離れていくなりしつつ一曲の作品に仕上げていくと。
-そこからバンドが音を足していくっていう作業ですか?
B そうですね。少年Bに関しては「この前やってたあの曲あるやん?実はあの曲で歌いたいから演奏して。そこにオレがのせていくから」みたいに。アイデアがあるときはグイグイ引っ張っていきますね。「少年B」のカップリングの「蜃気楼」も最初のギターのリフを聴いたときに砂漠の絵が見えて。砂漠でちょっと疲れてるけど、この7人で音出しながらオアシス目指していく、っていうイメージがパッと。
-7人でスタジオであーだこーだ言いながら作る、という形が多いんですか?
F 基本的にはそうで、あとはオレん家で、ハードディスクでプリプロしてっていうスタイルもありますね。オレとSHYOU(B)だけで、とか少人数で。アルバムを作るってなってそういうふうに作り方のバリエーションも増えておもしろくなりましたね。でもホンマにハードディスクは斬新やった。オレら、かなり機械オンチで、パソコンも持ってないくらいやし、「チャットってどんなんなん?」って話題になるくらい(笑)。
S 斬新やったな。
F トラックを客観的に聴けるから、ミックスの感覚とか位置とかを知りながら録音に臨めるっていうのは大きいですね。あと、オレのなかで自分でどういうするっていうDIY精神が絶対に必要で。そういう意味でも、自分でコントロールできてイメージを膨らませられるっちゅうハードディスクは魅力ですね。
-それ以外にも新しく取り組んだことなどがあれば教えてください。
S 今回のアルバムの制作期間中に、ベースのSHYOUとドラムのクーマがいきなり「ベースとドラムでチーム作ってん」って言い出して。Too tight classicsっていうユニットなんですけど、その二人の作った音の上にオレがフリースタイルでのっけてたやつがあって、それをもとに3人でやった曲が「リモート・コントローラー」なんですよ。二人にも一発録りっていうこだわりがあったんで、それでいったんですけど、クーマが咳きしてるんですよ(笑)。
B ドラムをバンッてブレイクして、サッコンがアツくグアーって歌うとこがあるんですけど、そこで「ケホッケホッ」って(笑)。普通に。
S ブース出ても「ゴメンゴメン」ってだけで(笑)。でも一発録りなんで、すごい緊張感がありましたね。
B 普段って、三人でブースに入って歌うじゃないですか。だから「サッコン歌ってんなー」って外から見てる感覚が結構新しくて。逆にプレッシャーになったし。「コイツこうきてんのか、オレらどうする?」ってそのレコーディングしてる時点からFUNKYと話してたし。
S 今回はオレだけやったけど、そういうふうにソロでやる曲もやっていきたいんですよ。自分の歌いたいテーマを一人で掘り下げて歌い切るようにしたいから。BASIも今、愛について歌ってたり、FUNKYMICは(韻シストに)最後に入った分、韻シストを一番客観的に見てる部分があって。西海岸のギャングスタラップをもじって、韻シストは"BANDSTA RAP"やろ!ってネーミングしたのをラップしてたり。そういうおもしろい発想も、ソロでやっていけたらなって。
B あとはね、インストとかスキットとかアカペラとかも入ってたりするのも新しいですね。今までミニとかシングルとかでは箸休め的なものはなかったんですけど。インストをやりたいっていうのはずっとありましたからね。
-いろいろと新しいことを取り入れているのですね。
S 今まではコンセプトみたいなんを立てずに作ってたんですけど、今回は「Localスピーカー」をさらに発展させて「Global」に、全世界、全宇宙に向けてやっていこうっていうのを軸にして全体的な流れを考えて。
-今ってグローバリズムへのアンチも多々ありますが、あえてグローバルに、と?
S 「Localスピーカー」でローカリズムを一回提示してるんで、次は自分達の等身大の音楽はこんなんですよっていうのを提示しようって。折角デカい会社に来てるし、もっといっぱいいろんな人に聴いてほしいし。例えばアメリカのアングラのシーンでも、普通に日本でもガンガン流行ってたりするじゃないですか。そういうふうに飛び火してくるのはアンテナはってるヤツはすごい敏感やからなんですよね。そういう世界中のアンテナはってるヤツらに「日本でもヤバいことしてるヤツいてるんや」って知ってほしいなから。
B 地元は大事やし、そっから拡げていくっていうことも大事やから。年齢も世代も関係ないし、単純にいいものを拡げたい。"ローカル"と"グローバル"っていう響きを昔から気に入ってて、これをどうにか曲にして提示できるようにしたいなっていうのもあって。いろいろとライブも回ってるし、このタイミングでローカルからグローバルにって提示していいんじゃないかなって。留まらずにグイグイ進みたいから。
-話は戻るのですが、先程のコンセプトの部分をもう少し詳しく教えてもらっていいですか?
S "Globalスピーカー"を発信してる基地があって、そこをベースにいろんな電波で音楽を流してるっていうイメージがあって。
B 「ラジオ基地」って曲で、「こちら窓開け放しなラジオ基地」っていうサッコンのラップから始まるんですけど、これをアルバムの一番最初にもってきて、「この基地から魔法の電波を使って発信してる」っていう感じで。
S もちろん発信するばかりじゃなくて、また街の路地裏に潜んでいってラップしてるっていう歌があったり、お酒と煙草と香水の匂いたっぷりの歌があったりってダークな歌があったりもするんですけど
-その電波をどういう人に受け取ってほしいっていうのはありますか?
F これはミーティングのときにも話してたんですけど、トラックの運転を仕事にしてるヤツやったり、上京したヤツ、学校行ってばっかりで遊ぶヒマないヤツ、そういうヤツらの車のスピーカーから流れてきたり、部屋のラジオがいきなり電波拾って流れてきたりして、「あっ、コイツらがんばってるやん」、みたいな、そういう感じがよくて。空想なんですけど、それを実現させるだけの意気込みでやっているんで。
後半では生バンドでヒップホップを行うということ、そのヒップホップとは何たるか、ということ、同アルバムに参加したミュージシャン(オーサカ=モノレールやバグダッド・カフェ・ザ・トレンチ・タウン/A.S.Pのマイケルパンチetc.)との作業、などを聞いています。今週金曜にUPしますのでお楽しみに。