DJ FOOD & DK
DJ
FOOD & DK

DJ FOOD & DK
『Solid Steel Presents −Now, Listen Again!』
Beat Records(http://www.beatink.com/)
発売中 ¥2,200
DJ FOOD & DK
<ニンジャ・チューン>軍団の最古参、ストリクトリー・ケヴによるDJ Food(当初PCことパトリック・カーペンターとのコンビであったが、現在PCはThe Cinematic Orchestraの活動に専念)。このDJ Foodというユニット名は、コールドカットの2人(ジョナサン・モア/マット・ブラック)によって90年に命名され、当初はDJのために食べ物(=トラック)を創作することがコンセプトだった(DJ用のブレイクビーツのみを収録したアルバム『Jazz Brakes』シリーズを5枚発表)。だが、彼の音楽性はもはやクラブのみで機能する音楽を超越した音響彫刻の域に達し、ジャズ/ラテン/ルーツ・ヒップホップに加え、70'sムービーからのサンプルを巧みに導入して映像力を喚起。更に、彼らは、テクノの遊戯精神でヒップホップの手法を用いたことにより先鋭的で斬新なサウンドを編み出した。カット・アップ技法の最高峰であることに異論の余地はあるまい。まずは00年のアルバム『カレイドスコープ』を聴くべし。ちなみに、ガンダムをモチーフにしたあの<ニンジャ・チューン>のロゴ・マークはケヴがデザインしたもの。DJ FOOD & DKのタッグとしては、01年にミックスCD『Solid Steel』第一弾を担当したのに続き、07年3月にはその続編となる『Solid Steel Presents −Now, Listen Again』をリリースしたばかり。
それぞれのトラックが次にどんな曲が来るべきか
を決定しているんだ−忍者軍団の最古参が語る
5月18日@大阪KARMA、19日@東京YELLOWに行われたニンジャ・チューンのレーベル・パーティー“SOLID
STEEL”。日本では二度目の開催となるこのパーティーに、今回はDJフード&DK、ザ・シネマティック・オーケストラのジェイソン・スウィンスコー、ゼロdb、ボノボ、イパが参戦した。そのタイトルにもなっている「Solid
Steel」はそもそも忍者総帥・コールド・カットがラジオ番組として始め、その後ニンジャ・アーティスト達のDJミックスをリリースし、人気を博しているミックスCDシリーズのタイトルでもある。このシリーズは01年にDJフード&DKが第一弾『Solid
Steel Presents −Now, Listen』をリリースして以降、ヘクスタティック、ミスター・スクラフ、ハーバライザー、アモン・トビン、djケンタロウ、ボノボらが名を連ね、それぞれ驚く程にハイクオリティのミックスを披露している。

今回は、このパーティーのために来日したアーティストのなかから、DJフードとジェイソン・スウィンスコー(に関してはもちろんザ・シネマティック・オーケストラの最新作『マ・フラー』について。こちらも充実した内容!)にインタビューをした。
まずはDJフードから。最新作となるミックスCD『Solid Steel Presents −Now, Listen Again!』に関してのことを中心に質問した他、インタビューのラストには5/18@大阪KARMAでのDJフード&DKのセットリストも紹介しているので、ファンならずともチェックされたし。
―Zトリップ〜ティンバランド〜エリックB & ラキムからカット・ケミスト、ペペ・デラックスまでの第一部、コージー・パウエルからプライマル・スクリームを挟んでエイフェックス・ツイン〜イレジスティブル・フォースまでの第二部、ニュー・オーダーからルーツ・マヌーヴァ「Witness」までの第三部、そしてラスト三曲、という流れになっていると感じたのですが、これらにどういったストーリー性を持たせましたか?
DJ FOOD 特別ストーリー性を持たせたわけではなく、むしろ誰の作品かとかは関係無しに、さまざまな音楽を取り入れてひとつの流れにした、という感じかな。それぞれのトラックが次にどんな曲が来るべきかを決定しているんだ、それが誰が作ったかではなくてね。それぞれのトラックが持つ形とハーモニーが次に何がぴったり来るかというのを決めている。まるでジグソーパズルのようにね。
―選曲の幅広さや自由さは驚きに満ちていますが、どういったスタンス/テーマで今作の曲を選び抜きましたか?
DJ FOOD 狙いとしては、前作のミックスCD『Solid Steel Presents −Now Listen』からの流れを、新しいテクノロジーを使って表現した。ダンスフロア向けであると同時に家やヘッドフォンでも楽しめて、前作よりも良い出来のものを作りたかった。
―特に9曲目、コージー・パウエルの「Dance With The Devil」が強烈に感じたのですが、ここについてはどういう狙いで?
DJ FOOD この曲は長い間、僕たちのお気に入りで、DKが初めて買ったレコードでもあるんだ。だから彼にとってはもちろんスペシャルだろうね。この曲にはどんな場所でも受け入れられる要素がある、例えばドラムとヴォーカルのトライバルな響きだったりね。世界中のあらゆる場所でこの曲をプレイしているけど、35年前に発売されたこの曲は、オーディエンスがどんな世代だろうといつも良い反応をもらっているよ。
―今作で新たに挑戦したことはありますか? 例えば実際のDJプレイじゃなく、CDだからこそできる試みだったり。
DJ FOOD 内容やテクニック的にはすごく斬新的なことをやろうと狙っていたとは思わないけど、自分たちが音楽を作る時と同じアプローチとっただけなんだ。ただの曲の寄せ集めとか、数ヶ月後には流行遅れになってしまう、まさに‘今’な感じのヒップなレコードは作りたくなかった。特にパッケージングされたものは使い捨てではないし、長いあいだ何度も何度も聴いてもらいたい(だからこういうタイトルになったんだよね)。一番の違いは「Serato
Scratch Live」を使ったことで、元々のトラックや要素をミキシングする前にカスタマイズすることができたこと。ツアー中にでもいろいろ変えることができるからライブセットをやるにはすごく便利なんだ。
―今作はミックスCDという形になりますが、作る上での感覚として、それぞれのレコードのネタをサンプリングして(ヒップホップ的な感覚で)新しい曲を作っている感覚ですか? それともいわゆるクラブプレイする上での「DJ」的な感覚ですか?(例えば、極端な例になるかもしれませんが、デヴィッド・マンキューソやジャイルス・ピーターソンは一切ミックスせずに一曲まるごとかけることを信条としています)
DJ FOOD どちらかというと新しい曲を作っている感じに近いと思う、他のアーティストが自身のレコードを作るのと同じくらいの時間を費やしてミックスを作っているのは確実だからね。オリジナルのレコードを作ることとスタンダードなコンピレーションを作ることの中間くらいだと思うんだ。オンラインで出していた僕の「Raiding
the 20th Century mix」は、新しい作品に近いかな。作品に注いだモチベーションとエネルギー、全体的なコンセプトなんかを考えると、それ自体がDJ
FOODの新しいアルバムとして捉えても構わないくらいにね。
―前作『Solid Steel Presents Now, Listen』(01年)でいち早くみせた“マッシュアップ”という手法は、今やダンス・ミュージック・シーンで盛んに行われるようになりました。今作でもこの“マッシュアップ”の手法は引き続き行われていますが、この方法論の魅力を教えてください。
DJ FOOD 違ったジャンルからの二枚のレコードをパーフェクトにフィットさせて、第三のレコードが生まれること、これは良いDJがすることの基本だと思うんだ。ほとんどのDJたちは、いくつか特別なブレンドを持っているもんだよ。よく知られている(または古臭いような)レコードがそこに使われることによって、ここ五年間はこれ自体がひとつのジャンルとして成立しているよね。人々は知らない作品より知っている作品の方がコネクトしやすいし、二つの違うアーティストの作品がこういう方法でブレンドされたのを聴くとすぐに楽しくなって踊り出すんだ。最初のミックスCDのときに、ザ・ビートの「Mirror
In The Bathroom」とマスクの「Square Off」を使って僕達がやってみせたら、当時の人たちは驚いてたね。でも今はそれが当たり前のことになってきたってことさ。
―UKではグライム〜ダブ・ステップが盛んだと聞くのですが、ここ最近、特に注目しているムーブメントを教えてください(必ずしも音楽に限らなくても大丈夫です)。
DJ FOOD ダブ・ステップは特に今大人気だね、でも一体いくつのクラブがダブ・ステップだけをプレイしているかはわからない。メディアがややハイプを作り煽っているけど、まだそういったレコードはわざわざ探しに行かなければ手に入らないくらいだよ。アンダーグラウンドではグライムのシーンは大きいけど、ワイリーやディジー・ラスカルの次のアルバムでオーバーグラウンドになっていくだろうね。インディー/ギター・ロックのシーンは変わらず大きいし、一時輝きを失いかけていたダンス・ミュージックは再び元気を取り戻してきている。今はいくつものフェスティバルが夏を通して行われているし、毎週公園や野原で何かしらのイベントがある。
復旧や開発があちこちで行われていて、サウス・バンクにあるヘイワード・ギャラリ
ーは全体的な改装が終わって今月再オープンするんだ。「トップ・ショップ」(ケイト・モスの手掛ける新ラインを発表したブランド)や「ニュー・ルック」(同じようにリリー・アレンが新ラインを手掛けるブランド)には、次の日にeBayで売るためだけに何時間も並んでいる人が居たよ(笑)。それと寿司屋が、コーヒーやサンドイッチショップと同じように、いろんな場所のハイストリートに並ぶようになってきて、今じゃ街の中心部のウェストエンドのオックスフォード・ストリートには持ち帰りの寿司屋が出来たんだ。ありがたいことだね!――――――――――
DJ FOOD & DK "PLAY LIST"
『Ninja Tune Presents SOLID STEEL NIPPON vol.2』 @ 大阪KARMA / 2007.5.18
MVP - Rock Your Body (instrumental)
Z-Trip feat Soup - Listen To The DJ
Timbaland feat Missy Elliot & Magoo - Cop That Shit
Eric B & Rakim - I Know You Got Soul (a cappella)
The Human League - Being Boiled
Area Code 615 - Stone Fox Chase
Cut Chemist - A Peek In Time
Pepe Deluxe - Salami Fever
Cozy Powell - Dance With The Devil
DJ Format - You Hear That?
Ram Jam - Black Betty
Jonny Jones & The King Casuals - Purple Haze
Primal Scream - Revenge of the Hammond Connection
Bomb The Bass feat Merlin - Megablast (a cappella)
DJ Shadow - Right Thing (Z-Trip's 'Get The Party Off' remix parts 2
& 3)
Gorgio Moroder - Tears
AC Lewis feat Ndidi Cascade - Tickles
Aphex Twin - Nannou
The Irresistible Force - Underground (Ambient mix)
New Order - The Beach
Part 2 feat Fallacy - One Of Them Days (remix)
Freestylers feat Pendulum & Sirreal- Painkiller (Ed Solo & Skool
of Thought remix)
5 Deez - Funky (a cappella)
TTC - Dans Le Club (instrumental)
Reggie Steppa - Drum Pan Sound
DJ Zinc - Reach Out (remix)
Roots Manuva feat Rodney P - Swords In The Dirt (The Qemists '03 remix)
Pendulum feat Spyda & Tenor Fly - Tarantula
Roots Manuva - Witness (Walworth Road Rockers Dub Steinski rework)
Jo Ann Garret - It's No Secret
Ronnie Hazelhurst - Are You Being Served? Theme (Film version)
The Dragons - Food For My Soul
text : 中谷琢弥 translate : 野崎大輔
photo : 新田君彦 special thanks : beat ink