autechre
autechre

Untilted/autechre
(WARP / BEAT)
now on sale/\2,500
autechre
ショーン・ブースとロブ・ブラウンの2人による、英国出身のテクノ・ユニット。1993年、1stアルバム『インキュネイブラ』をリリース。以降もエレクトロニック・ミュージックの総本山レーベルWARPからコンスタントに作品をリリースし続け、評価を高めていく。テクノ/エレクトロ・ミュージックの中でも複雑かつ緻密なサウンドは異彩を放ち、ミュージシャンからの敬愛も止むことがない。エイフェックス・ツインなどと並び、テクノ・シーンの最重要アーティストのひとつである。別ユニット、ゲスコムでも活動している。
WARP情報!
先日もNEWSページでお伝えしたように、オウテカも所属するレーベル、WARPのレーベル・ショウケースの開催が決定!(オウテカは出演しません)
[ 日程/場所 ]
東京:5/26 (金) ageHa@STUDIO COAST
大阪:5/27 (土)
FANJ TWICE
名古屋:5/28 (日) CLUBRADIX
[ 出演 ]
LFO / PLAID / LUKE VIBERT / JACKSON AND HIS COMPUTER BAND / JIMMY EDGAR
SPECIAL GUEST:STEVE BECKETT
詳しくはこちら
脳には、まだまだ音楽で刺激できるところはあるからね
例えば(と言ってるけどかなり確かな話)、ここ一、二年をピークにエレクトロやニューウェイヴといった80年代の感覚がリバイバルした。次は90年代だろ、という意見も直にその通りになるはず。時代は繰り返されるわけだからね。じゃあ、あと5年後や10年後になったら、もしかして“エレクトロニカ・リヴァイバル”なんてのもありうるんじゃないだろうか? それってどんなだろう…。で、そのとき、エイフェックス・ツインやボーズ・オブ・カナダ、キッド606らとともに真っ先に名前が挙がるのはこのオウテカなんだろうな…と思いを馳せてみたけれど、彼らに再評価なんてこともないか、ずっと評価され続けるもんな、ってことでこの話題は勝手に一件落着。
話は変わって。いつも取材前には、ある程度質問を考えていくのだけれど、オウテカについてはなかなか思い浮かばなかった。彼らの音楽について、何も聞く必要などないから、だと思われる。さて、でも果たしてどんな話を引き出そうか、と思案するうちに、サウンド・チェックを終えたばかりのロブ・ブラウン(写真左)がやってきた。
―オウテカの音楽は「革新的」「独創的」だと表現されます。新しさを追求し、提示することで、何を伝えようとしていますか?
伝えたいメッセージはない。僕たちの音楽はパーソナルなもので、自分たちのために作っている音楽だから。80年代にヒップホップに衝撃を受けて以来、そこからの影響で常にフレッシュでなければいけないっていう思いはあるね。
―実験を繰り返し、“新しい”を突き進んでいくと、その先には何があるんでしょう?
今、例えば今回のようなビッグ・イベント(エレクトラ・グライド05)で、1万人の前でプレイすること自体、10年前では考えられないことだった。はっきり見えるものはないし、「この曲はこう作ろう」と、決めて作っているわけでもないし、制作していく過程で出てくるだけだから。
―最新アルバム『Untilted』では、“リズム遊び”をしているな、と感じたのですが、このリズムの構造を作っているときはどんな心境で作っているのですか?
ドラムロールが一直線になっているなかで、そこからちょっと曲がっていく音楽が好きなんだ。僕らのキャリアはその“曲がり”でできているといってもいい。音楽はいろんな聴き方があるだろ? 外で聴くのと家で聴くのとでは違うし、音響の環境によっても全然違う。そういう違いがありながらも、どれだけ音のダイナミズムを出すことができるかっていうのは考えているね。
例えばDJがレコードをスクラッチしたりするのも“時間を変化させる”といういい例だよ。今はみんなそれに慣れてしまってるから、意識的じゃないだろうけどね。あれだけ簡単に時間軸をイジれること自体、当時は新しかった。僕らは、ミュージック・コンクレートの世界で、新しい方向に音楽の時間軸をコントロールしているんだ。
あと、『Untilted』に関して言うと、去年の夏に僕に息子が生まれて、オウテカとしての時間が少なくなったけれど、そのぶん密に作れたかな。本能的なものが出来たというか。リズムの角をメロディが丸めた、というのもあるね。
―02年に発表したCD+DVD「ガンツ・グラフ」では映像作家アレキサンダー・ラタフォードと映像と音楽の融合を計りました。今現在、この視覚や聴覚以外にも重要視している感覚器官はありますか?
今はそういうのは重要視していない。でも、さっき他のアーティストがサウンド・チェックをしている際に、大音量の音楽が立体的に脳にどういう影響を及ぼすか実感したところだよ。脳には、まだまだ音楽で刺激できるところはあるからね。「ガンツ・グラフ」は、旧友のアレキサンダー・ラタフォードと、お互いの作ったものを攻撃しあう、というのを昔からやりたくてね。
昔、機材がない頃には、古いシンセでアウトを口に繋げて弾いたりもしたこともあるよ。小さい電気ショックがわかるんだけど(笑)。音によってショックの大きさが違うし、目でも見えるんだ。昔は、肉体的な音楽の実験は結構したよ。
―“音楽”と“音”は、違ったものだと思います(厳密に言うと、難しい話題になってくるのでそれは置いておいて)。オウテカはその境界線の部分にいるようで、実は完全に音楽です。この両方のはざま、というのは意識していますか?
君の言いたいことはわかるよ。歴史的にも、昔は単なるノイズだったのが今は音楽になっていたりするからね。人それぞれの意識や捉え方にもよるけれど。環境の違いによって、音のなかに音楽を聴く場合もあるし。“マジック”があるかどうかがその境だと思う。
オウテカの音楽が空間から無くなったときの静けさには、それ以前とは少し違った景色を感じることがある。普段、眠っている部分を直撃されるからだろうか。そしてその違和感は、意外に心地良かったりするのだ。