AFRIKA BAMBAATAA

AFRIKA BAMBAATAA
1955年NYブロンクス生まれ。ブレイクビーツを初めて使った、ヒップホップ史上で最も重要なDJの1人。82年に発表した「PLANET ROCK」は、クラフトワークの「TRANS-EUROPE EXPRESS」を導入しており、この近未来サウンドはハウスやテクノの発展にも多大な影響を与えることになる。"ゴッドファーザー・オブ・ヒップホップ"と尊敬の念をもって呼ばれる、ヒップホップ界のオリジネイター。

AFRIKA BAMBAATAA AND THE MILLENNIUM OF THE GODS
『DARK MATTER MOVING AT THE SPEED OF LIGHT』
(Tommy Boy)
発売中 2,520円
"HIPHOP IS MOVEMENT"。ヒップホップはエネルギーなんだ。
ヒップホップの開祖は、クール・ハーク、グランドマスター・フラッシュ、そしてこのアフリタ・バンバータの3人だ、といって差し支えないだろう。70年代後半、NYブロンクスのストリートでブロック・パーティーを行っていた彼らがファンクやジャズの"ブレイク"の部分を2枚使いで繋ぎ合わせ、新たなビートを作った。これこそがヒップホップの始まりだ。
アフリタ・バンバータの功績なら、例えば以下のようなものが挙げられる。ラップ、ターンテーブル、グラフィティー、ブレイクダンス、ファッションの全てをヒップホップ・カルチャーに集結した張本人。ヒップホップとテクノを融合させエレクトロというサウンドを生み出した「PLANET ROCK」を始め、「LOOKING FOR THE PERFECT BEAT」、「RENEGADES OF FUNK」はヒップホップ・シーンだけでなくテクノやハウスのシーンからも圧倒的に支持される正真正銘のクラシックだ。ジョン・ライドン、ジェイムズ・ブラウン、ジョージ.クリントン、ビル・ラズウェル、スライ&ロビーらと共演を果たし先鋭的なサウンド・クリエイターとして80年代のミュージック・シーンを形作ったのは紛れもなく彼だ。
しかし。それらすべてはもちろん偉大なことなんだけど、今なお自身の主宰するズールー・ネイションを率いて精力的に活動しているという事実こそ、驚愕と賞賛に値する。なんせ昨年12月には最新アルバム『DARK MATTER MOVING AT THE SPEED OF LIGHT』をトミーボーイからリリースと、この御大の意欲はまだまだ衰えることはないのだ。ちなみにトミーボーイからのリリースは「プラネット・ロック」以来、20数年ぶりというのも特筆すべき点だろう。
ゴッドファーザー・オブ・ヒップホップ、このレジェンドの発する短い言葉から、その意味を自分なりに探ってみよう。
-昨年末にリリースしたアルバム『DARK
MATTER MOVING AT THE SPEED OF LIGHT』から聞かせてもらいたいのですが、今作におけるテーマはありますか?
このアルバムはスピリチュアル・サイエンティストたちに影響されて03年から作ったものだ。今は"スピリット"(=精神)と"サイエンス"(=科学)は別々になってるだろ?だけど本当は一緒のものだってことだ。
-ヒップホップはもちろんジャズ、ファンク、エレクトロ、テクノ、ハウス、ニューウェイヴなど、あらゆる音楽の要素がゴッタ煮にされています。
それこそがエレクトロ・ファンクだ。ハウスだろうとテクノだろうと、ファンクなんだ。
-シンセ・ポップ界の巨人、ゲイリー・ニューマンも参加していますが、これはどういった経緯で?
彼の音楽を始めて聴いたときはホントにビックリしたよ。今回は彼に歌ってもらったんだ。今回のアルバムに関しては元レフト・フィールドのポール・デイリーもプロダクションに参加してもらったよ。
-先程、サウンドチェックを拝見させてもらったのですが、DJセットにラップトップが新しく導入されていました。昨年の来日の際にはなかったと思うのですが?
そうだ。最近使うようになったんだ。seratoのソフトを使ってる。
-導入しようと思ったきっかけは何ですか?
航空会社がDJの金を盗もうとしてるからな。いつもツアーを回るときはレコードバッグを4〜5つくらい持っていくんだけど、飛行機に乗る度に搾取されるだろ?
だからレコードをハードディスクに入れ替えることにしたんだ。だから今回はレコードバッグを持ってくるのは1つだけで済んだよ。今はテクノロジーが進化してるから、それを利用しただけだ。
-テクノロジーの進化には肯定的ですか?
世界を良くするためならいい。でも戦争に使われてるだろ。あれはダメだ。
-ヒップホップは今やポップスのフィールドにまで登場し、世界中に拡がっています。ここ日本でもそうですが、現在のそういった状況をどう思いますか?
いろんなヤツがいるからいろんなヒップホップがある。それでいい。でも本当に"ヒップホップ"をしているヤツは少ないな。"ラップ"と"ヒップホップ"が別のものになってしまってる。
-最近好んで聴く音楽を教えてください。
ミッシー・エリオット、ミス・ダイナマイト、K-OS…いろいろ聴くよ。
-20年以上に渡り、常に実験的な姿勢を貫ける秘訣は何ですか?
いろんな国をツアーで訪れてるから、その土地土地のヴァイブスをもらいながら作っているんだ。
-では最後に質問です。ヒップホップとは何ですか?
"HIPHOP IS MOVEMENT"。ヒップホップはエネルギーなんだ。そのエネルギーは無くなることはないから、ヒップホップは決して死なない。それに、今もこれからもヒップホップは新しく生まれ続けるから、そのエネルギーはさらに大きくなっていく。そしてこれから人間は宇宙に入る時代になる。つまりそれはヒップホップも宇宙に行くってことだ。
インタビュー後、ラストのコメントの「そのエネルギーは無くなることはないから、ヒップホップは決して死なない」という部分を、インタビューに同行したズールー・ネイションの一人が補足で説明してくれた。僕も英語はさっぱりだから、何となくだけしか理解できなかったけど、きっとその話していたことは相対性理論やエネルギ〜保存の法則といった類いと同じだった気がする。