ROK

某編集プロダクションにて駄文を大量生産した後、2001年4月関西ストリートファッション/カルチャー誌「カジカジ」編集部入社。2002年夏より同誌編集長に。けど、もうすぐ辞めるの。オモロイこと始めます!

SSESSIONS Vol.3
"COME ON Let's Fly
〜A SPECIAL DISCO MIX FROM DANIEL WANG"
4月6日リリース
ミュージックマイン
君は1000%?-今求められるセンス抜群のナンセンス-
30分ほど寝坊し、ペダル強めの平日の朝。
『今夜連れていかれたい チャイナ♪』
「あら、CDのケースと中身間違ってたんだ」 ガックシ…と、バックパックからCDウォークマンを引っぱりだし、中身をチェックしてみるも、やっぱり合っているではないか!
ダニエル・ウォンのMIX CDに驚いた。いきなり鹿取洋子の「Going Back To China」で始まったからだ。実は所有する藤井隆扮するマシュー南セレクト(笑)のコンピCDにも同曲が先頭付近に収録されているため、冒頭の"ちょんぼ"を引き起こした。しかもダニエル・ウォンに関するボクの予備知識はちょっと風変わりなディスコ/ハウスを選曲するDJという"しったか"程度のモノ。島田紳助が元暴走族だったという予備知識なくあの暴力事件を知った世代かのごとく、相当に驚いた。
鹿取洋子だぜ?オッサンの聴く曲やん!
さて、僕が生業としている雑誌製作現場の話。みなさん、編集会議とは、どのように行われているのだと想像しているのだろうか。各編集スタッフが足やネットワークを駆使して掻き集めたとびきりのネタの数々をプレゼンテーション、さらには読者のハートを扇動しえるとびきりの企画をひねり出していく。こうしたいわゆるアツイ場面を想像するのが普通であろう。しかし答えは残念ながらNOである。完全に間違っているわけではなく、もちろんアツイ時間もあるにはあるが、最も時間がさかれるのは、"いかに多くの読者のニーズに合わせた一冊を作れるか"に頭を抱える苦悩の談義である。大袈裟にいえば最大公約数の計算作業でしかないのだ。ほとんどの編集部が同じだと聞く。出版不況の今、似た雑誌、果ては似たような企画、写真、デザインが氾濫するのはこうしたカラクリがあるからだ。
もちろんビジネスだから"いかに多くの読者のニーズに合わせた一冊を作れるか"はスッゲ〜大切なことなんだけどさ。
さてさて、再びダニエル・ウォン。調べによるとチャイニーズ系米国人の彼は、大学時代を過ごしたシカゴ、NYでハウスにどっぷり。キーボード、ドラムマシンなどの簡単な機材を集めて70年代の猥雑な香りムンムンのオルタナティブなディスコを製作し始める。そして今、彼は、ジュディ・オングや竹内まりやを平気でセットリストに加える珍奇でクールなDJとして孤高の道を切り開いている。一般的な観点からしたらハッキリ言ってナンセンスといえるだろう。ただし彼は、あの "ヤバイ"という意味においてのナンセンス。2many DJSの全編ブレンドだって同じだ。最高だ。
実のところ現在の雑誌製作現場に足りないものこそ、この"ナンセンス力"なのである。さらにはプラス妄想力といったところだ。審美眼と豊富な知識を持った編集者が、「これヤッベ〜だろ?」「こんなシブイ組み合わせ見たことないだろ?」「こんな世の中になったら最高だと思わねえか?」と、妄想を膨らませ、とびきりのネタを駆使してブリブリの紙面を作り上げていく。かつてPOPEYE創刊編集長・木滑良久氏や、クイックジャパンの創刊編集長・赤田祐一氏らは、そんなカッコいいナンセンスと妄想力で、若者を熱狂させ先導してきた。
音楽/クラブ業界だって似たような状況ではないだろうか。シーンがある程度成熟しきった後に、ビジネス的な旨味がたっぷりとあるワケがなく、小さなパイの奪い合いに陥るため、セオリー重視のどれも似たようなこじんまりとしたモノに落ち着いていく…。考えてみて欲しい。キミがしびれたアーティストのほとんどはハミダシもの=ナンセンスなヤツらのはずだ。セックスピストルズ?アフリカバンバータ?ニルヴァーナ?エイフェックスツイン?シローザグッドマン?
今求められるのはナンセンス。それもセンス抜群のナンセンスなのだ。ただしみなさん、今の若者にありがちな暴力的なナンセンスはダメよ。だってイタイだけじゃない…。